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日中戦争(昭和12/1937)
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霧湧く山は厳そそり
長城遠く雲に入る
断崖胸を衝く所
愛馬転びて谷に落ち
ああ戦友は血に染みぬ

死生を越えしつわものが
一念今は炎なし
身は肉弾と厳よじ
友が屍を背に負いて
匍匐迫る敵の塁

群がる敵よ寄らば寄れ
屍乗り越え乗り越えて
肉弾相打つ山嶽戦
血潮啜り先駆けて
将兵並び突撃す

飛べよいざ行け伝書鳩
行きて伝えよ本隊に
今長城の塁高く
吹き翻る日章旗
支隊はこれを死守すべし

弾丸尽きぬれば巌を割り
敵を雪崩と押し拉ぐ
糧絶えたれば草を噛み
雨を鉄兜に受けて飲む
長城の華坂田隊

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篠衝く雨やぬばたまの
闇の山路に水溢る
帯革握り離るるな
友軍今や救援無く
敵が重囲の内に在り

猶予はならじ由さらば
選む決死の突撃隊
なお躊躇険峻を
一気に登じむ続けとぞ
凛たり救援部隊長

ここ長城の山の上
連路絶えて十余日
よくぞ守りしよくぞ来し
両隊長は言葉なく
ひしとぞ手をば握りたり

三日二夜の激戦に
勇士の半失いて
今山上に湧く凱歌
汗も拭わず粛然と
東に向かう将と兵

剣光は陽に照り映えて
新戦場は音絶えぬ
勇士額伏し大君の
御稜威畏む時の間や
その名香し大場隊
作詞 堀内慶三

暁早き通州の
空にどよもす銃の音
兵変すわや起こりたれ
我が帝国の恩篤き
楽土冀東のその中で

撫民の仮面脱ぎ捨てて
凶器を揮う保安隊
平津の野に敗れたる
二十九軍の残兵と
諸共高く叫びつつ

向かうはいずこ良政の
指導に尽くす我が官衙
襲うはいずこ商工の
平和の業に勤しめる
武器無き人の住む家ぞ

矢庭に注ぐ機関銃
迫撃砲の弾丸の雨
家をば穿ち火を放ち
財をば掠め人を刺し
幼き者を射て倒す

特務機関や守備隊や
全員挙り戦えど
衆寡の数をいかにせん
弾丸尽きて剣折れ
全員難に殉じたり

鬼畜の所業さながらに
残虐飽かぬ賊の群れ
悲憤の憾み残しつつ
婦女老若を押し並べて
同胞二百これに死す

ああ通州は血の都
楽土冀東は夢なりき
日本男児いざ起ちて
信無く義無く涙無き
暴虐の徒を砕き去れ

作詞 堀内敬三
作曲 陸軍軍楽隊

巨弾は空に叫びつつ
爆弾土を揺るがせば
閘北の守り今砕け
炎の海を後にして
敵の全軍潰走す

進撃今ぞ皇軍が
気負いて進む陸と空
南翔・真茹・蘇州河と
急追止まぬ威武の前
敵の全軍潰走す

秋空高き上海の
地平を巡る黒煙
村落都邑尽く
我が手に落ちて今は見よ
敵の全軍潰走す
作詞 奥野椰子夫
作曲 佐々木俊一

闇に轟く手榴弾
苛立つ胸に波高く
左舷は遂に繋がれて
敵前上陸成し遂げたり

友の屍を打ち越えて
進もう俺よと突撃の
狭霧に浮かぶ白襷
皆血飛沫に染まりたり

喉傷付きて物言えず
大君万歳の三文字を
微かに紙に綴りつつ
瞳 閉じたるますらおよ

胸に血潮は滴れど
今だ報国終わらずと
途切れ途切れの声枯れて
大君万歳も口の内

東の空は血と燃えて
見よや東亜の朝ぼらけ
祖国の歴史の鉄の戸に
永久に印せよこの凱歌
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